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これは、飼い主さんが全てをやってください、ということではありません。飼い主さんが全てをやらずに、時にはお休みしたりして、心身の休憩を取ってもらうために、私たちがいるのですから。
最後の最後まで飼い主さんが主役、という意味は、老犬の最後の時まで、飼い主さんが、老犬のためにできる努力をあきらめずにしてあげてほしい、という私たちの気持ちです。
だから、そのために飼い主さんには、最後まで、元気に、明るく、前向きに、老犬とも接してもらえるように、自分自身の心身の健康管理には、十分注意してもらいたいのです。
そして、技術的に、体力的に、また仕事などの都合による時間的な理由で、私たち老犬介護士のような存在が必要であれば、老犬のために、うまく私たちを利用してほしいのです。
飼い主さん自身が、老犬に対する介護などの実務をできなくても、どうしたら少しでも老犬が快適に過ごせるかを考えてあげて、どうしたら、それをしてあげることができるのかを、考えてほしいと思うのです。
何といっても、長年一緒に暮らして、世話をしてきた飼い主さんが、その老犬のことについては、一番知っているはずです。こればかりは、どんなに経験やを積み、知識を身につけた老犬介護士も、けっしてかなわないことですから。
飼い主さんの話を聞くことが老犬介護のスタートです!
老犬のお世話をする時に、まずしなければいけないことは、飼い主さんから、その老犬との暮らし方、どんな環境で飼っているのか、排泄はどのようにしているのか、食事は、何をいつ、どのくらいあげているのか、今のワンちゃんの健康状態はどうなのか、そして、今、ワンちゃんの世話をして困っていることはなんなのか、など、とにかく、その老犬に関することをお話しして頂くことです。私たちは、実際に老犬のお世話をする際には、そのお話から、どんな介護計画を立てたらよいのか、すべてそのお話を参考に検討して、決めていくことになります。
また、飼い主さんは、特に何か困っている時には(老犬の世話をする場合、きっと、何かあるのが普通だと思いますが)、そのお話をしていただくことだけでも、飼い主さんの気持ちが落ち着くこともあるでしょう。そして、お聞きしたり、お話をしていく中で、老犬に対する気持ちを共有していき、また、飼い主さん自身の気持ちへの共感と、また一方では、飼い主さん自身が頑張っていけるようにするための、私たちの対応も考えていくことになります。
ですから、最初の飼い主さんとのお話を、私たちはカウンセリングと位置づけて、とても重要なものだと考えています。
熱心な飼い主さんほど、無理をしがち
老犬の世話を最後の時までしてあげるためには、飼い主さん自身が、心身の健康を保たなければいけません。しかし、現実には、その老犬を愛するが故に、介護に熱心になり過ぎて、自分の健康管理を忘れてしまう場合も少なくないと思います。人間の場合でも、介護疲れによる悲劇が報道されたりさいますが、愛犬が家族の一員という現在、犬の介護でも同様のことが起こりかねないかと思います。
特に犬の場合は、子犬という小さなときから育て、10年から20年という長いような、振り返ると短い時間の中で年老いていくので、人間の場合とは、ちょっと違った感情があるかもしれません。
犬にとっては、飼い主さんが全てです。その気持ちに応えようと、最後まで、ひとりで面倒を見ようという気持ちはとても大切だと思います。実際、それが理想的だとも思います。でも、実際にそれをやるのは飼い主さんの心身に、時に、とても大きな負担になりかねないかと思います。
そんな時に、飼い主さんに少し休んでもらうために、飼い主さんに代わって世話をするのが、私たちの仕事なのです。
飼い主さんが、老犬の世話が原因で具合が悪くなり、ダウンするようなことになってしまったら、老犬ともども、共倒れになり、元も子もありません。
飼い主さん自身にとっては、老犬の介護をすること自体が目的ではなく、老犬に少しでも快適に一緒にいてもらうこと、少しでも長く、一緒にくらすこと、だと思います。
そのためには、飼い主さんはいつまでも元気でいなければいけないのです。
自分の健康も考えれば、自分のストレスをためないようんすること、体の負担はなるべくかからないようにすることが重要になります。そんな時に、私たちの存在を知って、思い出してほしいのです。
飼い主さんが明るければ、老犬も明るくなる!
犬は、飼い主さんのことをいつも細心の注意を持って見ています。飼い主さんの気持ちを一番よく知っているのは、愛犬かもしれません。だから、飼い主さんが楽しければ、愛犬も楽しくなり、飼い主さんが悲しめば、犬も悲しい気持ちになります。それは、老犬になっても同じです。老犬の世話がストレスになり、気持が落ち込めば、世話をされる老犬も、同じように気持ちが落ち込み、しかもそれを自分のせいだと感じて、生きる気力を失ってしまうかもしれません。
でも、たとえ老犬が寝たきりになったとしても、飼い主さんが明るく接していれば、老犬の気持ちも明るく朗らかになるはずです。
年老いた老犬、また寝たきりの老犬と接して、明るい気持ちになるのは、簡単ではないかもしれません。特に、ひとりで世話をしていると。
そんな飼い主さんの気持ちを明るくしていくのが、私たちの重要な役目の一つであると思っています。
そして、それが老犬を元気にして、がんばろうという気力を与える、ベストな方法であると思っています。
ペットロスに打ち勝つ気持ち
どんなに頑張っても、愛犬の最後は必ずやってきます。ほとんどの飼い主さんは、、それを避けて通ることはできません。私も、小学生の時に、初めて飼った犬が亡くなった時、大学にいっている頃、2頭目に飼った犬が逝った時、そしていまや自分が高齢期になろうとしている時に20歳の愛犬が永遠の眠りに就いた時、どの犬の時も、その別れに涙をこらえることはできませんでした。
愛犬との別れが悲しくない人はいないと思います。悲しくて、悲しくてしょうがない、涙が止まらない、これは、心ある人間であれば、とても自然なことだと思います。
だから、この気持ちをなくすことは不可能です。
でも、その悲しみの気持があまりにも長く続くと、今度はその後の飼い主さんの生活に支障をきたすようになってしまいます。そうなると、それが、今度はその人間にとっての問題になってしまいます。
いわゆるペットロスです。
そうなると、自然な気持ちを通り過ぎて、ある種、病的な状態になってしまうことになるかもしれません。
したがって、ペットロスになることは、できれば避けたいし、避けてほしいと思います。
一般的に、ペットロスを軽減する一番の方法は、多頭飼いといわれています。でも、すべての愛犬家が多頭飼いをできるわけではありません。では、1頭飼いでもペットロスを防ぐ、あるいは軽減する方法はないのでしょうか?
そのひとつが、老犬介護ということなのです。今回、私たちが老犬介護の実績を持つベテラン老犬介護士に老犬介護について教えて頂いた時に、一緒に熱心に老犬介護をしてきた飼い主さんは、みなさん、ペットロスになることはなかったということなのです。
どうしてかというと、老犬のためにできることはすべてしてあげた、老犬も安らかに永遠の眠りについてくれた、という、飼い主としてやるだけのことはしてあげて、愛犬もそれに応えて最後まで頑張って生きてくれた、という気持ちが、悲しみの中でも、それが深く長くなることをおさえてくれるようだ、とのことなのです。
人間の場合も、十分に長く生きてくれての大往生の時は、悲しみとともに、こんなに長く生きてくれてありがとうという感謝の気持ちが起きるときがあります。愛犬の場合も、同じなのかもしれません。
年老いた老犬に対して、やるだけのことはやってあげた、というある種の気持ちの整理をしてもらうようにすることも、私たちの重要な役目の一つだと思っています。